がん患者の外見変化に支援 ウィッグ購入などの自治体助成 愛媛はまだ3市
がん治療に伴う脱毛といった外見変化の苦痛を軽減する「アピアランス(外見)ケア(※1)」。医療技術が進み、通院治療をしながら仕事を続ける患者が増える中、アピアランスケアの支援として医療用ウィッグなどの購入費用を助成する自治体が全国で広がっている。愛媛県内では西条、今治、宇和島の計3市が取り組むが、まだ少数。よりよい患者支援につなげるためにも、NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会(松山市)は助成対象の拡充や関係機関との連携強化を求めている。(原田茜)
■ 愛媛の現状は
3市の助成対象はいずれも、ウィッグ(帽子も含む)や乳がんで乳房を切除した人のための人工乳房などの補整具で、それぞれ購入費の半額の3万円を上限に支給する。申請は1人当たり各1回(個数制限なし)。今治市は子宮がんの手術後などに起きるリンパ浮腫の治療に有効な弾性着衣なども対象としている。新たに松山市が2024年度当初予算での事業化を、八幡浜市もできるだけ早い時期の導入を目指している。
3市の助成対象と助成額
■ よりよい患者支援へ
NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会の松本陽子理事長は、県内自治体の助成事業について「がんの治療には高額な費用がかかるため、ウィッグなどの購入にお金が回らない人は少なくないです。患者にとって助かる面もあると思います」と一定の評価をした上で、こう指摘する。
「アピアランスケアは本来、精神的な苦痛を軽減することが大前提となります。『外見を整えなければならない』『治療による変化は良くないことだ』などと、外見の変化を否定するような認識が広がってはいけません」
対象に関しても、弾性着衣といった後遺症の治療に有効なものなどへの助成こそが求められているとし「不安やつらさを抱えながら窓口を訪れた患者が、病院の相談窓口や患者団体などに相談できる体制も整え、よりよい支援につなげてほしいです」と話す・・・
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