愛媛新聞ONLINE

2024
517日()

【人事ガチャしんどい】前向きに新年度を迎えるには? 愛媛の異動事情も調査 「人手不足の埋め合わせはNG」

トップ画像

 

 

 4月の人事異動を控え、そわそわと落ち着かない人も少なくないのでは。近年、どの部署に異動するか分からない心境や、配属先の当たり外れをカプセル玩具に例えた「人事ガチャ」「配属ガチャ」という言葉があります。愛媛新聞ONLINEが3月上中旬、人事異動や配属に関する調査を実施したところ、回答者の半数超の約54%が望まない異動を経験していました。

 全ての従業員の希望がかなう異動はないと分かっていても、新しい業務や環境に慣れるまでは不安が大きいものです。新年度を前向きに迎えるための心構えや人事異動の在り方について、人材育成や研修を行うキャップ(松山市)社長の森美佐子さんに尋ねました。(原田茜)

 

 🏢 半数強は望まない異動を経験 

 

 「苦手な数字を扱う部署に異動。時間がたってもなかなか慣れず、ストレスだった」(30代女性)

 「育休復帰から1年で自宅から遠方の勤務地に異動になった。望まない昇進もして管理職になり、仕事と家事、育児の両立が困難になった」(40代女性)

 「なぜか、しんどい場所へ異動させられ、苦労の連続。その割には評価されることはなかった」(50代男性)

 調査は3月8~15日にインターネットで実施し、県内を中心に男女54人が回答。自身の希望に沿わない経験をした人から、こんな声が寄せられました。

 中には「別の部署を経験したことで視野が広がり、元の職場に戻った時にできることが増えた」(40代男性)、「入社2年目に異動。その職種で転職も行い、結果的に良かった」(30代男性)といったポジティブな意見も。異動は精神的負担が大きい一方で、キャリア・スキルアップにもつながることがうかがえました。

 

 🏢 「ガチャ」の裏には…

 キャップでは、新入社員の離職やハラスメントなど各企業が抱える問題に対して、さまざまな研修やコンサルタントを実施しています。「仕事に対する考え方や価値観は変化してきています」。森さんはこう指摘します。

「仕事に対する考え方や価値観は変わってきています」と話すキャップ社長の森さん

 昭和時代は仕事中心の「ライフ・イン・ワーク」だったのに対し、平成に入ると「ワーク・ライフ・バランス」、令和では仕事も人生の中の一つと捉える「ワーク・イン・ライフ」という考え方が浸透しているといいます。

 「人事ガチャ」「配属ガチャ」という言葉が広がる背景について「言葉の裏には、従業員の不安と不満があるのだと思います。日ごろ懸命に仕事に向き合っているからこそ、『何が起こるか分からない』『自分の都合や希望が通らない理不尽さ』に納得できなかったり、耐えられなかったりする人もいるのではないでしょうか」と推測します。

 🏢 言語化が大切

 人事異動では勤務地や仕事内容、人間関係など職場環境ががらっと変わることも。自身に異動がなくても、新年度のスタートに漠然とした不安を感じている人が多いかもしれません。前向きに新年度を迎えるために森さんは、心のしなやかさを保つ「心理的柔軟性」が鍵を握ると説明します。

 心理的柔軟性とは、困難な状況にあっても大切なことに向けて役立つ行動を取ることを指します。「まずは何が不安なのかや、そう感じる理由など自分の気持ちを掘り下げ、言語化してみましょう」とアドバイス・・・

 

👇 企業に求めたい人事異動・配属の在り方についても詳しく掲載しています。

    残り:557文字/全文:2176文字

    有料記事のためデジタルプラン購入が必要です。