愛媛新聞ONLINE

2024
517日()

愛媛FC×FC今治 クラブ首脳陣が語る「伊予決戦」(上)

 

 愛媛FCとFC今治が対戦する「伊予決戦」が11日午後6時、ニンジニアスタジアムでキックオフする。愛媛FCはJ3優勝が決まる可能性があり、FC今治としても逆転昇格に向けて負けられない戦いで、激戦必至。両クラブのサポーターを含め、多くの県民の注目が集まっている。
 J3のリーグ戦としては4度目となる伊予決戦を2週間後に控えた10月末、愛媛FCの村上茉莉江取締役と、FC今治の矢野将文社長の特別対談が実現した。同じ愛媛にあるJクラブの経営陣は互いをどう見ているのか。「(FC今治の存在は)突然、雷が落ちたよう」「愛媛FCのファンクラブに入っていた」など、約1時間半にわたった対談を詳報する。
 第1弾ではこれまでの伊予決戦の感想や、両クラブの経営方針に対する思いなどを聞いた。(聞き手・竹下世成)

【むらかみ・まりえ】
 1985年松山市出身。松山東高、日本大を経て、一橋大で経営学修士(MBA)を取得した。IBMなどでコンサルタントとして働き、2016年にニンジニアネットワークに入社。現在は、愛媛FCの取締役や東洋印刷の専務取締役などを務める。
【やの・まさふみ】
 1975年愛南町生まれ。愛光中・高卒、東京大卒、東京大院・愛媛大院修了。外資系証券会社などを経て2014年11月に「今治.夢スポーツ」取締役に就任し、17年4月からは代表取締役社長。中高大でサッカー部に所属した。

⚽伊予決戦の意義

 

伊予決戦を前に対談したFC今治の矢野社長(左)と愛媛FCの村上取締役

-J3のリーグ戦としては過去3度行われた「伊予決戦」。率直な感想やクラブ経営でのメリットは

愛媛FC・村上取締役
 去年から同カテゴリーとして、ガチンコ対決でやってます。去年は今治ホームは今治が、愛媛ホームは愛媛が勝利という結果に終わりました。特に愛媛ホームの話をすると、いつもとスタジアムの空気が全く違っていた。ただ、ピリピリした感じではなく、とにかくワクワク、楽しい。ちょっとディズニーランドに行ったときの感覚に近い。同じ県に2チームあることの魅力を感じました。
 あの試合は、愛媛が先制して、2点入れられ、さらに(逆転して)愛媛が勝利するドラマチックな展開。ここは全然コントロールできる世界ではないけど、あの展開は今治さんを含めた皆さんの空気がもたらしくれたような気がします。
 今シーズン(の伊予決戦)は、愛媛も昨年より若返ったこともあり堅い試合になりました。私は応援の輪を広げようと、愛媛ゆかりの人たちに集まってもらって東京で応援し、すごく盛り上がった。伊予決戦があることで、今まで関心が薄かった人たちや、サッカー好きだが離れてしまった人など、ライト層の関心も集められています。やはり伊予決戦は、県内の人にとって1番魅力あるコンテンツになっているのではと感じます。

 

【愛媛FC―FC今治】シーソーゲームを制して肩を組んで喜ぶ愛媛FCイレブンと、膝を折るFC今治イレブン=ニンスタ(撮影・末光徹)

 
FC今治・矢野社長
 ニンジニアスタジアムは私も幼いころからよくサッカー観戦に行きました。僕なりにサッカーや陸上、駅伝などいろいろな思い出がある場所。
 (伊予決戦があった昨年)9月は本当に素晴らしい雰囲気だった。だんだんと人が集まり、スタジアムが結構な人数で埋まる。夕方から夜にかけての色彩の光景も覚えてます。オレンジと青。さらに夕焼けが西の方に見えて、それがだんだんと暗くなる。でも照明があるので夜でもライトに照らされ、選手たちが頑張る。そして、そのピッチがグリーン。試合前のみんなの高揚感に加えて、今治のゴール裏から見た光景がすごく印象に残ってますね。
 今治のホームでは2回(伊予決戦を)実施し、スタジアムが前のスタジアムと今のスタジアムでした。両クラブのファンの皆さまが安心して楽しむために、どういう配慮をしなければならないかをスタッフが頑張って整理したのを覚えてます。今治里山スタジアムができてメインスタンドもバックスタンドもゴール裏も、みんなが1日をみんなで楽しもうとしている。そして、それぞれのクラブがいい結果になるように頑張って応援する雰囲気も最高でした。自然と目に焼き付く光景が生まれるのが、この2年間の伊予決戦だったと思います。・・・

 

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