愛媛新聞ONLINE

2024
517日()

愛媛FC×FC今治 クラブ首脳陣が語る「伊予決戦」(下)

 

 愛媛FCとFC今治が対戦する「伊予決戦」が11日午後6時、ニンジニアスタジアムでキックオフする。愛媛FCはJ3優勝が決まる可能性があり、FC今治としても逆転昇格に向けて負けられない戦いで、激戦必至。両クラブのサポーターを含め、多くの県民の注目が集まっている。
 J3のリーグ戦としては4度目となる伊予決戦を2週間後に控えた10月末、愛媛FCの村上茉莉江取締役と、FC今治の矢野将文社長のスペシャル対談が実現した。同じ愛媛にあるJクラブの経営陣は互いをどう見ているのか。「(FC今治の存在は)突然、雷が落ちたよう」「愛媛FCのファンクラブに入っていた」など、約1時間半にわたった対談を詳報する。
 第3弾では愛媛県にJクラブがある意義や、多様性などを踏まえた取り組みについて聞いた。(聞き手・竹下世成)

愛媛FC×FC今治 クラブ首脳陣が語る「伊予決戦」
(上)(中)はこちら

⚽地域課題への一手

 

-地域が抱える人口減少や少子高齢化は、クラブ経営でも一つの課題になりえるかと思います。地域に根差すJクラブとして、地域課題解決に向けて何ができるでしょうか

愛媛FC・村上取締役
 間接的にしかできることはないと思いますが、行政がやろうとしている婚活イベントなどに協力できるところは協力する。人口動態に対してダイレクトに影響を与えられるわけではないので、どんな人口動態になったとしても、楽しんでもらえるコンテンツをつくっていくことになるかなと思います。どちらかというと、アジャストしていくことが多いでしょうか。
FC今治・矢野社長
 私たちは、最初からスポーツと健康・教育が近しい事業だと捉えて、ずっとやってきています。事業をやるということは社会的な要求に応えていくことでもあります。サッカー以外の事業を通じて地域課題・社会課題を解決することは、これまでもやってきましたし、これからもやっていくこと。加えて、スタジアムという一種の街のシンボルみたいなものを作りました。スタジアムを拠点・核にして、応援していただいているファンやパートナー企業の皆さまに、私たちなりにできることを提供し、担うことを増やし、協業者と一緒にやっていくということかなと思ってます。
 直近では、スタジアムでドッグランを始めました。今治市に1つもなかったんですよ。すると、試合では見ない方々がドッグランには来ていて「今度サッカーを見に行ってみる」ということも起きている。
 ワンちゃんのコミュニティーを里山スタジアムに作ったことで、そのコミュニティーの皆さまが「サッカーを応援するのもいいかな」「教育事業にも行ってみようかしら」と思っていただく。私たちができる事業を少しずつ協業者と増やし、一種の生態系などをつくっていく。そのようなことを、少しずつやってます・・・

 

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