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2024
517日()

J1王者を追い詰めた! FC今治、神戸に大善戦

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 平日、水曜の夜、スタジアムにはクラブ史上3番目の多さとなる5097人が応援に駆け付けた。J3のFC今治は4月17日、Jリーグ・YBCルヴァン・カップ1次ラウンド2回戦で今治里山スタジアムに昨季のJ1王者、神戸を迎えた。延長にもつれ込む熱戦は、延長前半にPKを献上した今治が最終的に1-2で敗れたが、ベンチスタートだった神戸のレギュラークラスを次々と引きずり出す堂々の戦いぶりがファン、サポーターの心を大いに熱くした。(大中祐二)

■立ち見席も売り切れる注目の一戦

 

5097人のサポーターで埋まったスタジアムでプレーするFC今治の選手 ©FC.IMABARI

 前売りチケットは早々に完売となった。増設された立見席も売り切れて、当日券の販売はなしという盛況ぶり。今大会から開催方式が変更され、下位カテゴリーのチームがホームで上位を迎え撃つ形に。その相手が神戸とあって注目度は実に高かった。

 日程的には厳しいものがあった。アウェイ連戦から中2日での神戸との対戦。しかも「ただアウェイに続けて遠征したのではなく、宮崎戦(第9節〇2-1)も八戸戦(第10節〇1-0)も、愛媛から飛行機を乗り継いでの往復。移動がかなり大変だった」という服部年宏監督の言葉に、この試合に向けた準備の難しさがうかがえた。

 それでもファン同様、選手たちも神戸戦を心待ちにしていた。チーム最年長でJ1、J2で多くの出場を重ねてきたベテランMF三門雄大は、J1王者に対する「勝ち筋」を次のようにイメージしていた。

「できるだけ神戸にリードされない時間を長くしたいですね。タイスコアの時間が長くなればなるほど、向こうは焦るはず。自分も天皇杯で下のカテゴリーのチームと何度も対戦してきたから分かりますが、リードできないと『あれ? まずいぞ』という心理にどんどん陥っていくんです。うまく試合を進めていけば、セットプレー一発でリードを奪う、そんな試合展開も可能になると思います」

■神戸を“リスペクトしすぎない”戦いぶり

 

前半5分、CKを市原(左)が頭で合わせ先制する 撮影/門屋駿介

 直前の八戸戦に先発し、フル出場した三門は神戸戦のメンバーには入らなかったが、服部監督やベテランFW阪野豊史の勝機の見立ても同様だった。阪野は、神戸に胸を借りる試合の意味を、「J1のプレー強度、プレースピード、精度の高さを、ぜひ若い選手たちに経験してほしい。必ず成長につながるはず」と捉えていた。

 そして、試合は願ってもない展開となる。開始早々の4分。弓場堅真が左足で上げた右CKを・・・

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