愛媛新聞ONLINE

2024
517日()

J2昇格をつかめ!! FC今治の鹿児島キャンプに密着

 

 みなさん、はじめまして。FC今治を取材して4年目となるフリーライターの大中祐二です。これまで25年にわたってJリーグを中心にサッカーの現場に関わってきました。
 サッカー専門誌時代に担当したアルビレックス新潟を追い続けるため、東京の出版社を辞めて新潟に移住したのが2009年のこと。そして2021年1月、FC今治がこれから作る歴史を間近で取材するために故郷である愛媛に戻ってきました。
 チームはJ3でおととし5位、昨年4位と順位を上げてきました。今年がJ2昇格を達成すべき重要なシーズンになることは明らかです。

 

【愛媛FC―FC今治】1―0で伊予決戦を制してJ3優勝を決め、喜ぶ愛媛FCイレブン=ニンジニアスタジアム(撮影・柳生秀人)

 それも、ただ昇格するだけではない。J3優勝という目標を譲ることはできません。昨年11月11日、ニンジニアスタジアム(松山市)での伊予決戦で、愛媛FCに目の前で優勝・昇格を決められた衝撃は、実に大きかった。愛媛FCの歴史に残る勝利の日であるのと同時に、FC今治の歴史にも刻んでおかなければならない敗戦の日だと思いました。
 この勝負のシーズンを、FC今治はどのように戦うのか。服部年宏新監督は、どのようなサッカーを今治で表現しようとしているのか。チームづくりが加速する鹿児島キャンプを取材しました。

⚽大敗から見えた可能性

 

ミスを恐れず、チャレンジすることを選手たちに求める服部年宏監督

 1月28日、チームは鹿児島県指宿市のいぶすきフットボールパークで鹿児島ユナイテッドとのトレーニングマッチに臨んだ。鹿児島は昨シーズン、J3で2位となり昇格を決めている。今季、J2入りをつかむポテンシャルが今治にあるのか。力を試す意味でも、胸を借りるには良い相手となった。

 試合は開始早々に失点するなどして2対5で敗戦。スコアだけを見るとなかなかショッキングな結果となった。ただ、チームとしてはスコアだけでは見えづらい収穫が多々あったトレーニングマッチだと感じた。

 チームは一貫して4-4-2のフォーメーションで戦った。服部監督は昨年途中までJ3福島ユナイテッドを指揮し、3バックを採用していた。それが、今治で始動する時には「チームには質の高いセンターバックがいるので、4バックを考えている」と発言。その言葉通りの4-4-2だった。

 自陣のゴール前にセンターバックが2人いるより3人いた方が、守備はより堅くなり、安定する。一方、チームの重心が後ろに傾きすぎると、攻撃に参加する人数が足りない「出力不足」に陥る心配がある。服部監督の言葉からは「守備の人数を増やさなくても、しっかり守って攻撃につなげられるだけのクオリティーがセンターバック陣にある」という見立て、信頼が伝わってくる。

⚽新加入のリーダー

 

奈良から移籍加入の加藤徹也(右)は鹿児島との練習試合でゲームキャプテンを務め、リーダーシップを発揮

 鹿児島とのトレーニングマッチでは、センターバックの1人としてJ3奈良クラブから移籍加入したDF加藤徹也が先発。右腕にはキャプテンマークを巻いた。

 「ゲームキャプテンを務めることは、試合前のミーティングで言われました。奈良でもやっていたし、しっかりチームをまとめることを意識して臨みました。もう少し声を出して、周りを引っ張れれば良かったと思います」

 そう振り返った加藤。奈良での経験を発揮して、リーダーシップと冷静な判断を見せた。早々の失点に加え、冷たい強風が吹き続ける風下でのプレーは容易ではなかったはず。しかし、加藤はボールを奪いに来る鹿児島の選手のプレスに慌てることなく、パスをつないでは反撃の機運を高めていた。

 「風下で相手のプレスを受けっぱなしでは・・・

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